013:深夜番組--------君が寝てしまった、その横で、変わらない深夜番組を眺め続けた。
深夜三時過ぎ。テレビ番組も終わり、放送を終了する局もある時間帯。
こんな時間帯は、深夜番組なのか、くだらないテレホンショッピングが延々と流れ続けている。
君は隣で終始無言だ。あたしもそれに引きずられて、口数が少なくなってしまう。
「…なんで俺らこんなの見続けてるんだろうな」
「…そうだね」
テレビでは身体を健康的に鍛えるとか何とか、妙にハイな外人が宣伝を続けている。
何回それが繰り返されたのだろう。終わったと思えば、また最初から。
いい加減、飽きてきた。けど。
あー眠ぃー、と言いながら君はソファに音を立てて横になる。
ごろん、と横になって、上目遣いで見上げてくる。
「…悪い、眠いわ。寝てもいい?」
「いいよ、寝て」
苦笑いしてそう言うと、君は素直に目を閉じた。そのまましばらくして寝息が静かに聞こえてくる。
あたしも寝ようかと思って目を閉じたけど。
座ったまんまじゃ寝にくいしつーか眠気なんてないし君は隣にいるしここは君の部屋だし。
君が傍にいて、目を閉じるのはもったいなすぎて。
何回か挑戦してみて、結局諦めた。目を開けて、ちらつく蛍光灯を見上げて、それから小さく溜息。
君の静かな寝息。エアコンの音。外から聞こえてくる微かな車の音。代わり映えしない深夜番組。
この部屋がまるで眠っているように、まるでちっとも変わらなくて。
君の寝顔を、眺め続けた。
子供みたいな、幼い寝顔。少しだけ笑って、それから少し悲しくなる。
同じソファに座っているから、動いたら君が起きてしまいそうで、だからずっと座っていた。
朝は遠い。
ただ、深夜番組を眺めていた。
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悲しい幸せがあると言うことを、空が白んだあの時感じたんだ。