羽が生えている、と思った。
HABATAKE-BOKURA-NO-KOI-NO-HANE!!!
羽が生えてる、と思った。本当に。
すれ違った高校生。少し振り返れば、待っていた様子の男の子。
その背中。
前を歩く、手を繋いだ2人。
その背中。
彼女が出来た、と嬉しそうに話す友達。
その背中。
先を行く女の子。それを追いかける男の子。ランドセルが光って。
その背中。
広い場所で、たった一人の人を見つけて、走って行く。
その背中。
どれもこれも、大きな大きな羽が。きれいに羽ばたいて。
きっと走ったりしてるのなんて幻に違いない。本当に浮いてるのだ。背中にはえた、その羽で。
「浮き足立つ」なんてよく言ったもの。事実だなあ、と苦笑をかみ殺す。
もうそろそろ。私も浮き出す時間になる。
ほら。
「お、カフェラテうまそうじゃん」
「えー?自分の買ってきなよ」
レジに追いやったヤツの背中にも羽がある。
そして私の背中にも。
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いいね。幸せ。最高じゃない?