残 し て お い て 。
ひどいひどい。
欠片も置いていってくれないなんて。
どうして生きていったらいいの。何にももうないだなんて。
ひどいひどい。
残りかすさえ、もうとうにない。
あの人を返して。あの人にあわせて。
せっかく、
せっかく、せっかく、いつでも一緒にいられるように、小さく小さくしたのに。
せっかく、いつまでも離れることがないように、その骨でピアスを。
その肉で料理を。
その血でワインを。
その筋で糸を。そして布を。
その心臓で、私の心臓を包もうと思ったのに。
ねぇ、どうして。
わたしに彼を返してよ。
-------------------------------------------------------------------------------------------
周りに残ったのは、僅かな肉片と血痕。それから胸を開いたままのわたし。