sky color
いつだったっけ。
そうだ、あれは学校からの帰り道だった。
一緒に帰ってた友達が言ったっけ。
その日はほんとに綺麗な青空で。
「死ぬんだったらこんな青空の日に死にたい」
なんて言ってた。
「こんな空の日には死にたくなる」
そうも言った、様な気がする。あれはどっちが言ったんだっけ。もう思い出せない。
でも、確かに自分はこういったはずだ。
『それは、死にたくなるんじゃなくて、死んでもよくなるんだよ』
あの時、言いながら、でもいざその時になったら絶対後悔するんだろうとか思ってた。
―――目まぐるしく移る視界。灰色のアスファルト。自分が着ていた白いシャツ。赤信号のライト。振り返った人が持ってた黄色いバッグ。
それから、本当に青くて、今まで見たことも無いくらい真っ青な空。
嘘だよ、後悔だなんて。
こんな青い空が見れるんなら、死んでもいい。
どうしよう、泣きそうだ。
きれいで、きれいで、ほんとうにきれいで、涙で視界が滲んでしまう。
瞬きをして、蒼さを目に焼き付けようとする。けど、すぐにまた滲んでしまって。
ああ、やっぱり後悔してるんだろうか。
こんな青い空が見れなくなるなんて、それはとてもいやだ。
どうしてだろう。頬を流れる涙が妙に熱い。瞬きをしてもしても、視界がちっともクリアにならない。
かたいアスファルトの感触はつめたくて、でも身体はあつくて、あおいそらが、ゆっくりとにじんで。
おとがとおい。ざわめきがきこえる。サイレンが、きこえる。
そらがどんどんにじんでいく。余分なものがいっさい無い、青い蒼いあおい―――
じぶんがあおいインクになったみたいだ。もうすぐおちて、あのあおにまじれる。
それは、しあわせ、なんだろうか。
もう一度、心の中で、かつての友人に呼びかける。
なぁ、死ぬんだったら、やっぱり青空のほうがいいかもな。
でも、おまえは、できれば、もっと、ゆっくり、ながめてからに、しろよ…
一筋また涙が頬を伝った。熱かった。そう感じて、俺はあおい空におちる。
---------------------------------------------------
晴れた日にいけたって事を、あいつが聞いたらなんて思うかな。それだけが気がかり。