もうすぐ、来る。
SUMMER DAYS
日が昇るのが早くなってきた。
虫の声もするようになった。って言うか、蚊が。
梅雨入り宣言をちょっと前に聞いた。現に雨が多い。
台風が来る回数が増えてきた。その度に学校休みになれと祈るわたし。…多分わたしだけじゃない。
段々気温が上がってきた。長袖もそろそろうざったい頃。半そでの腕には日焼け止めが必須。
外を照らす太陽が眩しくなってきた。冷たいものが恋しくなってきた。
これはもう、いよいよってことでしょう。
視界が白く潰されるくらいの日差し。咽返るような草いきれ。黒々とした影。遠くに立ち昇る陽炎。
昔からのイメージが、段々わたしを包んでいく。
蒸し暑くて、息も出来なくなりそうな濃い空気。決して真っ暗にはならない濃紺の星空。薄明かりの中での花火。
期待に胸が張り裂けそうになる。幼い頃そうしたように、はしゃいで声を上げたくなる。
かなり早く昇る太陽。暑くなる予感を湛えた朝の瑞々しい空気。朝早くから短い命を謳歌している蝉の声。
冬から春へ。それから―――。
いつ見上げても、信じられないくらいの青。白とのコントラストは目に眩しいばかりで、大きな入道雲はいつもわたしを切なくさせた。
もうすぐ、来る。
色々な思い出を生むのだろう。そうしてまた私の中に刻まれていくのだろう。
今年も夏がやってくる。
去年とは違う、これからきっと二度と会うことのない。
私だけの。
一度きりの夏が、やってくる。
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終わりはかない 夏は待たない
だが夏へのこの思いはやまない