愛 の こ と ば
呟かれた言葉はさよならで。
耳に残った音は、君が部屋を出てく音。
いやに広い部屋の中、響くのは自分の呼吸と、
君が残していったことばの数々。
どんなつまらないことばも、
どんなくだらないことばも、
どんな陳腐なことばも、
どんな小さなことばでさえ。
『あの、ね、』
『ことばは、』
『それひとつじゃ成り立たないの』
『そこに感情が、混ざって、』
『そうして本当のことばになるの』
だから、と君は続ける。
『わたしは、あなたに、感情を、心を込めて、』
『伝えるわ』
『 』
ねぇ、だったら。
きみがいったさよならにも、
感情が、心がこもってると、僕の目を見て言ってほしい。
でなければ。
君の涙の理由は何?
あの時聞いた『さよなら』と、
記憶に残る『愛してる』は、
僕の中で重なって聴こえてる。
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愛してる、と呟きながらさよならを伝えてくれたほうが良かった。